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横尾忠則「連画の河」に行ってきました。

2025/06/20

先日、世田谷美術館で開催中の「横尾忠則展」を見に行ってきました。
展示のタイトルは「連画の河」。横尾忠則氏が88歳にして2023年春から取り組み始めた、新作油彩シリーズ約60点で構成されています。まるで横尾氏の精神世界を旅するロードムービーを見ているような、ダイナミックな物語性を感じる展示でした。

和歌の連歌のように、「昨日描いた自分の絵」をあたかも他人の手によるものとして受け取り、そこに今日の自分が筆を加える。そしてまた次の“自分”に渡していく。そんな“連画”という独自の手法で描かれています。作品には日付が添えられ、その時々の時事ネタがモチーフとして登場することも。鑑賞者はまるで、横尾氏の創造の流れ=“河”をたどるような感覚で、絵画の連なりを体験していきます。

特に印象的だったのが、《略奪された女と自転車》という作品。マラソン中のランナーたちが、裸の女性を担ぎながら走っており、そこに自転車のイメージがオーバーラップしてくるような構図です。ちょっと怖くて、不穏で、でもそのエキセントリックさがどこかユーモラスでもあるという、不思議な魅力のある作品でした。ずっと見ていられる一枚でした。

展示全体としては「なんだったんだろう……」と頭の中を置き去りにされるような、とらえどころのない体験でした。でも、それこそが横尾忠則という存在に触れるということなのかもしれません。(高木)

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