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不屈の情熱の軌跡 「田中一村」展に行ってきました。

2024/12/04

田中一村展 奄美の光 魂の絵画
Tanaka Isson: Light and Soul
2024年9月19日(木)~12月1日(日)

先日、東京都美術館で開催されていた「田中一村展」に行ってきました。
※館内「撮影禁止」でしたので館内写真等はございません。

開催終盤となり入場制限、予約による1時間の総入れ替え制だったこともあり
ゆったり鑑賞できるかと淡い期待をしたものの、その期待も虚しく崩れ去り、朝ラッシュの銀座線?並の怒涛の大混雑状態での鑑賞となりました(涙
改めて、田中一村人気を体感することとなりました。

さて、私が田中一村を知ったのは1987年頃。
当時、美大を目指し予備校に通っておりまして、
とある講師が田中一村を大絶賛していたことで知ることとなる訳ですが、
以来、大好きな作家の一人であります。

ちなみに、数十年変わらぬ私の推しアーティストは以下
田中一村 Isson Tanaka
ピーター・ビアード Peter Beard
ジョージア・オキーフ Georgia O’Keeffe
アーヴィング・ペン Irving Penn
アンディ・ウォーホル Andy Warhol
リチャード・プリンス Richard Prince

話しが逸れました、、、

本展は、一村の神童と称された幼年期から終焉の地である奄美大島で描かれた最晩年の作品まで、250件を超える作品でその全貌を三部構成によってご紹介する大回顧展。以下簡単にご紹介。

【第一章】若き南画家「田中米邨」 東京時代
入り口付近にて展開されていた「菊図」紙本墨画淡彩を見て、その横にある作品説明パネルを確認すると8歳時の作品という記載、、、8歳? 嘘だ、、、8歳!? まじか、、、8歳で、この描写力、この構図、この余白の取り方、、、落款まで入っているし、、。確かに神童と称させるだけのことはある、、、いきなり度肝を抜かれました。幼少期のひたすら描き続けた圧倒的物量にただただ驚嘆するばかり、、、。

【第二章】千葉時代「一村」誕生
藝大も2ヶ月で辞めた後は、順風満帆とはいかず20代、30代、40代の模索していた時代の苦悩が伝わってくるような作品群が興味深い。身近な小景画、デザイン的な仕事や木彫、仏画、節句掛や季節の掛物などからは、展覧会への出品作とは違う、画家の生業というものが具体的に伝わってきます。様々な手法へのトライ&エラーを繰り返しているように感じ、模索に模索を重ねる、行き場のないエネルギーをひしひしと感じる、、。

【第三章】己の道 奄美へ
晩年期の奄美大島の自然を描いた作品群は、模索を重ねてきたものが、一気に開花しエネルギーに満ち溢れ、まさに圧巻。日本画でありながらトロピカルな亜熱帯の植物や鳥、魚などを描くことで独特の世界観となり、大胆な構図と精緻な描写による圧倒的な世界観をあらためて堪能できました。

生前、画壇の世界から脚光を浴びることもなく、ほぼ無縁と言って良い生活の中で、紬工場で染色工として働き、蓄えができたら絵を描くという生活を繰り返し、圧倒的な独特の世界をつくりあげた。

絵描きとして清貧で孤高な生き方を通した田中一村は
ただただ最高にカッコよかった。

今回、会場にて販売していたの図録は300ページ近い、大ボリュームなのもあり見応えたっぷりで大変お買い得かと思います。
じっくり拝見したいと思います。

(イトケン)

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